「ギャンブラー破滅」理論

収益という点で最も効率的なベットの仕方の理論と実践を扱ったところで、今度は安全性について論じたいと思います。

実際にプレーしていると、好不調の差がはっきりすることに驚きます。

3日間何をやってもうまく行ってしまうかと思えば、4日目から急に雰囲気が変わり、それ以降勝てる気がまったくしなくなるというようなことはしばしばあります。

1.5%前後の期待収益率では短期的な浮き沈みが激しいのです。

私自身の経験では何をやってもうまくいかない不調期が3週間も続いたことがあります。

こんな時はどんなに精神力の強い人でも気が滅入ってしまい自信を喪失してしまうものですが、自分の使っているシステムの力の確かさを信頼してとにかくプレーを続りなければなりません。

このような短期的な損失があったとしても元手をすべて失わない限り必ず巻き返しをはかることができます。

しかし、元手がなくなってしまっては元も子もありません。

何としても、元手をすべて失う事態に避けなければならないのです。

この、元手をすべて失うという事態が起こる可能性を確率論からする方法を「ギャンブラー破滅理論」と呼ばれる理論が提示してくれます。

この理論によると、期待収益率(E)および元手(C)から破滅の可能性(R) つまり元手がすべてなくなる可能性が計算できます。

※^C＝C乗

ではこの公式に数字を当てはめていきます。

なお、最も収益に影響を及ぼすのは最大ベットの勝ち負けであることから、ここでは簡略化のためこの最大ベットを中心にして見ていくことにします。

すると、先程のベット方法を使った場合に元手をすべて失ってしまう可能性は次のようになります。

※この数字は最大ベット時の平均期待収益率です

前頁の表を見てあなたはどう思われるでしょうか。

シックスデックの時の破滅の可能性の値が意外に大きいのに驚かれたのではないでしょうか。

もしあなたが12回に1度破産してしまうというのではちょっと危険過ぎると思われたら元手を増やすか、ベット単位(この例では$15)を下げた方がいいでしょう。

シングル・ダブルデックの方はまぁ妥当な線かと思われるのではないでしょうか。

しかし、私の場合はこれでも少し不安です。

年に何十日もプレーしようと思う方は少なくとも最大ベットの125倍、できれば150倍この元手は用意することをお勧めします。

こうするとケリーシステムに基づく最適ベット金額より小さな金額をベットすることになるために収益性は多少落ちます。

しかし、これを破産の予防への代償と考えればこれは大した犠牲ではありません。

最後に、下表は、元手が最大ベットの何倍のときに破滅の可能性が何パーセントかを列挙した一覧表です。

ご参考にしてください。

より高い収益率の追及の名のもとに、どの程度の破滅のリスクを負いたいかは皆さんの判断に任せます。

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