カードカウンティング――従来のスタイル
ここまで来れば、K-Oシステムに取りかかる準備は整ったと言える。
しかし、先に進む前に著者らがK-Oシステムを考えた理由を紹介する。
それは扱いやすさの問題である。つまり、従来のシステムは実践するには煩雑すぎたのだ(従来のシステムとアンバランスシステムの比較については、こちらを参照)。
以下の例は、従来のバランスシステムを採用した場合に従う代表的な手順である。
全ての手順を理解する必要はないが、K-Oシステムの手軽さを実感するためにはいい参考になるはずだ。
全てのシステムと同様に、バランスシステムでもカードにカウント値を、+1、-1というように割り当てる。
ランニングカウントは常に足し算引き算していき、継続的に更新する。
ここで、2デッキゲームの例を挙げよう。
あなたは頭の中でランニングカウントを把握し続けている。
現在のカウントは+3である。
いま、ベットの瞬間でディーラーがじっとあなたを待っている。
しかし、ベットの金額を決めるためには、まずランニングカウントを標準単位(トゥルーカウント※と呼ばれるもの)に換算しなければならない。
※:トゥルーカウント(正規化したカウント)は1デッキ当たりのカウント値である。ランニングカウント→残りデッキ数=トゥルーカウント。バランスカウントシステムでは、ランニングカウントそのままでは有益な情報源とならず、ペット戦略・プレイ戦略を決める際には必ずトゥルーカウント換算が必要となる。
やり方はこうだ。
ランニングカウントの値を覚えたうえで、ラックに積まれたプレイ済みカードの高さをもとに、すでにプレイされたカードの枚数を推測する。
今回はその高さが1と1/4デッキ分あったとしよう。
そこから「2から1と1/4を引くと3/4デッキがシューに残っている」と計算する。
ランニングカウント(覚えているだろうか?+3である)を残りデッキ数で割って、さらに端数を切り捨てるとやっとトゥルーカウントにたどり着く。
さあ、答えは?
+4である。
ここであなたはやっとトゥルーカウント+4をもとにベットサイズを決め、チップを置くことができる。
あなたが大きなベットをするときは、必ずこの手順を踏まなければならないのだ。
ベットが無事終わったところで、再びランニングカウント(まだ思い出せるだろうか?)に戻り、出てくるカードをカウントしなければならない。
そして、あなたの順番が来ると、またもディーラーはじっとあなたを待っている。
しかし、ここでもまたベット金額を決めるためにランニングカウント換算の作業を行わなければならない。
このランニングカウントとトゥルーカウントの継続的な換算作業は、精神的な負担になりやすく、ミスや疲労にも繋がる。
何より確実に言えることは、ゲームの楽しみを損なってしまうということだ。
さらに、この換算作業に要する大きな労力は問題のひとつにすぎない。
以下のような性質のせいで、さらに煩雑になっているシステムも存在する。
マルチレベル・カウント値
±1より大きいレベルのカウント値を割り当てることによって、±1以上の数値でカウントしていくシステムが多く存在する。
例えば、-3から+3までのカウント値を割り当てたりする。
この手法は「マルチレベル」カウントと言われる。
+1ずつカウント計算していくのが大変だと思うなら、この手法のように±2、±3もしくは土4ずつ同時に計算することを想像してみてほしい。
サイドカウント
マルチレベルとトゥルーカウント換算だけでは物足りないと言わんばかりに、特定のカード(Aが一般的)について追加カウントを採用するシステムがある。
こういったシステムは「マルチパラメーターカウント」と言われる。
2つのランニングカウントを頭の中で個別に把握し、更新することを想像してみよう。
2~Kのカードが出るたびに片方のランニングカウントを更新し、さらにAが出るたびにもう片方のランニングカウントを更新する。
ベットのときには、まず使用済みのAの数を現時点での平均的なそれと比較し、その差異を憶測する必要がある。
その差異をランニングカウントに加算(または減算)するのだが、これは閑散計算の前に行わなければならず…、とにかくこの煩わしさが伝われば十分である。
複雑で多種多様な応用戦略―たくさんあるシステムの中には、複雑な戦略マトリクス表に従うことを要求するものがいくつか存在する。
このようなシステムは、時に200通り以上の応用戦略を設定して、ごくわずかな期待値の向上のために全てを暗記することを要求する。
このようなカウンティングの詳細を読むと、習得する前に、全てを投げ出してしまいたい気分になるかもしれない。
しかし安心してほしい。
K-Oシステムは実践上の威力を保ったまま、これらの手順の多くを省いているのだ。
カットカード効果
「カットカード*効果」とは、実践の基本戦略の期待値を、理論上の期待値よりも少しだけ悪くする微妙な現象のことである。※
※. カットカード効果は数学的に証明されているわけではない。しかし、この効果が実在することは大いに考えられる。これはエドワード・O・ソープ教授との会話における結論である。彼の啓発的記事「Does Basic Strategy Have the Same Expectation for Each Round? (基本戦略は毎ラウンド同じ期待値なんだろうか?)」、「Blackjack Forum] June, 1993も重要な参照になる。シミュレーションでも、ヘッズアップのプレイでさえカットカード効果が現れていることを確認できる。汎用基本戦略使用の我々のシミュレーションによると、例えば、シングルデッキの65% ペネトレーション、ディーラーがソフト 17 をヒットするゲ
ームでは、プレイヤーの期待値はおよそ - 0.38%となる。
そして、この現象はシングルデッキゲームにおいて最もその効果を発揮する。
この現象は次のように発生する。
カットカードがデッキのおよそ2/3の場所(36枚目)に入れられたとしよう。
平均で1ハンドに3枚のカードを使い、1ラウンドで5~6ハンドがプレイされると(4~5人のプレイヤーとディーラー)、2ラウンドで約36枚が消費されることになる。
しかし、もっと少ないカード数で2ラウンドを終え、ディーラーがカットカードに至っていなければ、さらにもう1ラウンドを配ることになる。
では、平均より少ないカードが配られるとは、どういう状態を意味しているのか?
これは普通、ハイカードが連続して多く出ていったことを意味する。
ハイカードが多く配られれば、1ハンド当たりの消費カードは平均の3枚より少なくなる。
したがって、ハイカードが多く消費されたときに限って、もう1ラウンドが追加されることになるのだ。
同様に、ローカードが平均以上に消費された場合には、確実に2ラウンド目の途中でカットカードに達する。
よって、3ラウンド目が行われることはない。
ランニングカウントは高くなるが(平均以上のハイカードがデッキに残っているため)、即座にシャッフルされてしまうので、その意味をなさないのだ。
中には、このカットカード効果を生かすために、ベッティングスポットが5つしかないシングルデッキテーブルを導入するカジノまである。
カジノは、客のためにゆったりとしたテーブルを用意するほど、奉仕の精神で営業してはいないのだ。
*:ブラックジャックテーブルでは、カットカードは2つの役割を持つ。まず、シャッフル後、カットカード(赤か黄色のプラスチックのものが多い)が客の1人に渡されて、客がデッキに任意で挟み、デッキの最終カットがカットカードの入った位置で決まる。しかしカードカウンターにとってはカットカードのもうひとつの役割が重要なのだ。デッキの最終カットの後、ディーラーはデッキの後ろのほうにカットカードを挟む。その後ゲーム中に、カットカードが配られたら、これが「最終ラウンド」の印となる。つまり、ディーラーがカットカードをセットする位置が深ければ深いほど、ペネトレーションが有利となるのだ。
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