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ガムボールをカウントする

 

従属試行の概念を説明するために、子供時代を思い出してみよう。

 

 

あなたは近所のスーパーにいて、目の前には白と黒の丸いガムがちょうど10個ずつ入ったガムボールマシーンがある。

 

 

あなたは5分前にスーパーの店長がガムを補充しているのを見たので、この情報は確かである。

 

 

全てのガムは完全に混ざり合っていて、ガムを買おうと子供たちが列を作っている。

 

 

賭けごとが好きな友達が、あるゲームの提案をしてきた。

 

 

どうやらさっきから目をつけていたプラモデルのためにあと数ドルだけ必要な様子である。

 

 

次に出てくるガムの色が白だと思ったタイミングで$1(小遣いをもらった直後ということにしておこう)を賭けることができる。

 

 

もし白いガムが出たら$1もらえて、黒なら$1を失う。簡単そうなゲームだ、とあなたは納得する。

 

 

もしあなたが即座にベットするとなると、勝てる10個を含めた合計20個のガムがマシーンの中にあるということになる。

 

 

したがって、あなたが勝てる確率は10/20もしくは単純に1/2である。

 

 

当然のことながら、負ける確率もまた1/2だ。

 

 

よって、期待値は単純に以下となる。

 

  • 期待値=1/2(+1)+1/2(-1)=0

 

この期待値0は、最初のガムにベットする場合、長い目で考えれば勝ちも負けもしないということを意味している。

 

 

もちろん一つひとつの勝負は$1の勝ちか負けのどちらかの結果になるが、この50/50の勝負において長期的に期待できる値は最終的に0となるのである。

 

 

ではここで、すでにガムがひとつ出されていて、それが白だった場合を考えてみよう。

 

 

この場合には、黒い(負けの)ガムが10個と白い(勝ちの)ガムが9個残っているので、この時点でベットするのはあなたにとって不利だと分かる。

 

 

勝つ確率が9/19なのに対して、負ける確率は10/19だからだ。

 

 

期待値を計算すると以下のようになる。

 

  • 期待値 = 9/19 (+1) + 10/19 (-1) = -1 /19

 

つまり、このタイミングで白に賭けると、$1ごとに$21の1/19もしくは5セント強ずつ負けることになる。

 

 

これは長期的には、ベット金額の5.26%を損失する期待値だ。

 

 

もう一度言うが、個々の勝負は$1の勝ちか負けのどちらかの結果に終わるが、長期スパンでは勝つことより負けることが多くなるのだ。

 

 

これは平均1プレイごとに5セントずつのスピードで、破産という終着駅に直行しているのと同じことてある。

 

 

それでは、白が10個と黒が9個残っている場合はどうだろうか。

 

 

これは、あなたにとって有利な状況であり、これこそまさにベットすべきタイミングである。

 

 

先ほどの例にならえば、その期待値は+5.26%だとすぐに分かる。

 

 

長期的に考えれば、この状況で行われるベットは全て、いい稼ぎ手となるのだ。

 

 

もし、ブラックジャックをプレイするにあたって利益を得ることが目的ならば、期待値がプラスのときだけプレイすべきだし、期待値がマイナスのときはけっしてプレイしてはいけないのだ。

 

 

では、ベットが有利なタイミングをどうやって見極めるのか?

 

 

あなたが有利か不利かを見定める簡単な方法は、ガムを観察することである。

 

 

これによって何色のガムが何個ずつマシーンの中に残っているかが分かる。

 

 

黒いガムがマシーンから出てくれば、あなたは有利になる。

 

 

つまり黒が外に出てくるたびに、白に賭けたときの期待値はわずかに上がるのである。

 

 

そして白いガムが出てくる場合には、その逆のことが起こる。

 

 

ではここで、黒いガムに+1のカウント値を、白いガムに-1のカウント値を割り当てるとしよう(この割り当てられたカウント値のことを「タグ」と呼ぶことがある)。

 

 

カウント 0から始めて、ガムが出てくるたびにその全てについて「ランニングカウント」を更新する。

 

 

つまり、ボールがひとつ出たら、その色のカウント値を加減してランニングカウントを更新していくのだ。

 

 

例えば、最初に出たガムが黒ならランニングカウントは+1となる。

 

 

さらに次のガムが白であれば、ランニングカウントは0に戻る(最初の黒の+1がいま出た白の-1に相殺される)。

 

 

このようにランニングカウントによって、どのタイミングがプレイするのに有利かを把握することができる。

 

 

つまりランニングカウントがプラスであれば、あなたにアドバンテージがあるのだ。

 

 

しかし、外に出た白と黒のガムの数を正確に数えて、記憶する必要はない。

 

 

そしてマシーンの中に残っているガムの数を把握する必要さえないのだ。

 

 

唯一把握しなければならないのは、有利か不利かを知るためのランニングカウントの値だけなのである。

 

 

さらに、アドバンテージがプラスに転換したと分かった瞬間を「キーカウント」と呼ぶ。

 

 

つまり、カウント値がキーカウント(+1)かそれ以上の場合、あなたは有利だと言える。

 

 

また、カウント値がキーカウントを下回る場合には、中立か不利な状況だということになるのだ。

 

 

ちなみに、ここで(この勝負に影響しない)ほかの色のガムをマシーンの中に入れたとしても、それがこのカウントに影響することはない。

 

 

単にそれらを無視すればいい。

 

 

例えば、赤を10個、青を13個、緑を5個マシーンに加えたところで、カウンティング作業は少しも難しくならない。

 

 

追加されたガムに、単純にカウント値0を割り当てればいいのだが、これはランニングカウントに全く影響しないのだ。

 

 

これがカードカウンティングの基本的な概念である。

 

 

つまりプレイヤーとカジノのどちらが有利であるかを見極めるための、天秤を採用することである。

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