ペネトレーションの変更による影響
アンバランスカウントに慣れ親しんでいる読者にとって、ペネトレーションがK-Oシステムのパフォーマンスに対して与える影響は気になるところだろう。
無論、浅いペネトレーションは、プレイヤーの有利な機会を減少させる分、パフォーマンスを下げるものだということは百も承知だが、ここではより微妙な影響について考えたい。
一般的には、アンバランスカウントにおいて、現在のランニングカウントがIRCと最終的な値の間にある場合、そのデッキの状態はプレイされたカードの枚数によって決まる。
2デッキでカウント値=0の場合は、現状が有利か不利かは分からない。
これは、その時点で何枚のカードが出ているかで決まる。
まだシューの最初のほうなら(平均ランニングカウント=約-4)、カウント値=0でもすでにアドバンテージは得られている。
しかし、もしシューの最後のほうなら(平均ランニングカウント=約+ 4)、カウント値=0ではまだ不利な状態だ。
2デッキのキーカウント = +1であるため、カウント値=0なら少しだけ不利になるのでは、と思う読者もいるかもしれない。
しかし、ここでひとつ思い出してほしい。
キーカウントは通常75%のペネトレーションの前提で、多数のサンプルハンドの平均から計算されている。
したがって、ペネトレーション75%のゲームでカウント値=0のとき、大体の場合は不利となるが、そうでない場合もあるのだ。
戦略マトリクスのA、B、Cの計算は、シングルデッキの場合 =65%ペネトレーション、2デッキ以上の場合=75%ペネトレーションで行われている。
もしペネトレーションが変われば、マトリクスの値も多少変化する可能性がある。
これを分かりやすくするために、極端な場合を例に挙げて検証しょう。
2デッキゲームでたったの50%ペネトレーションだとしよう。
この場合、当然シャッフル前のランニングカウントは0に近い値となる(75%のベンチマークの場合、そのRCは + 2)。
同様に、平均ランニングカウントは-1ではなく - 2となる。
よって、A、B、Cの値も少し下方修正しなければならない可能性が出てくる。
この効果の影響を検証するためにK-Oスマートシステムのマトリクスについて構造安定性のテストを行った。
通常の75%ペネトレーションの代わりに65%ペネトレーションと設定し、2デッキと6デッキのシミュレーションを行った。
さらなる検証のため、あらゆるインデックスのカウント値を1ずつ下げることにより調整を加え、総合的な結果にどのような影響が出るのかを実験した。
それらの結果を以下に示す。
75%ペネトレーションの例で見られるように、プレイヤーの期待値がスマートマトリクスの調整によって影響を受けることは、ほとんどない(たった0.01%のロス)。
この結果はK-Oシステムのアドバンテージの大部分が、プレイ概略よりも適切なペットの上げ下げから得られているということを意味する。
さらに、スマートマトリクスを覚えやすくするために微調整を換えることが、大きな弊害をもたらすものではないということも分かる本文のファブファイブの例のように)。
逆に少し驚かされるのは、浅いペネトレーションでマトリクスのカウント値を調整しても、たった0.01%のプラスしか得られないということだ。
したがって、本書で説明した通りにスマートシステムを使用するだけでその効果は十分だと言え、ベネトレーションの違いに合わせてA、B、Cの値を調整する必要はないと言える。
この事実を裏づけるために、何種類かのゲーム形式においてさまざまなべ本トレーションでK-OシステムとHigh-Lowシステムを比較した。
下記に、デッキ数とペネトレーションの深さを考慮して計算した、それぞれのシステムの期待値を示す。
ペネトレーションが浅くなるとK-Oシステムの期待値が下がるのは明らかだが、その減少の程度はHigh-Lowシステムに類似している。
High-Lowはバランスシステム(正確に残りのカードを考慮するシステム)であり、浅いペネトレーションが収益にもたらす影響を計るものさしとなる。
言い換えると、High-Lowシステムの期待値が減少するのは、ベット戦略の変更によるもので、プレイ戦略の変更によるものではない。
しかしここでは、ペネトレーションが浅くなると、両システムの期待値の減少の程度は類似していることが分かる。
これは、K-Oシステムの場合も、その期待値の減少のほとんどが有利にベットする機会の減少から来ていることを示唆している。
つまり、許容範囲のペネトレーション(シューの60~90%)さえ保証されていれば、K-Oスマートマトリクスの使用は適切であることを示しているのである。
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